平成5年6月1日から、私的録音に関する補償金制度が実施されています。この制度は著作権法の一部改正により新たに創設されたもので、従来自由かつ無償であった私的な録音について、権利者の被る経済的不利益を補償するため、デジタル方式の機器・記録媒体を用いて行う場合には、録音自体は自由としつつ、権利者(作曲家や作詞家などの著作権者、歌手や演奏家、俳優などの実演家、レコード製作者)に対して補償金を支払うこととするものです。 |
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はじめに
近年、社会の情報化、国際化が急速に進展する中で、著作権に関する関心が高まってきています。それとともに、著作権法の概要、著作権制度の仕組みについて述べられた書物も、各方面から発行されるようになってきました。 著作権の全般にわたる専門家や実務家にはそのような解説書が便利と思われますが、専門家に限らず、著作権問題が私たちの身近なところで語られるようになっていることにも配慮する必要がありましょう。例えば、「著作権法の全体については、当面、知る必要はないが、今、○○に関連する著作権制度の考え方を知りたい。」「自分の職務上、どのように著作権が関わっているのかを学びたい。」といった、従来の解説書の切り口とは異なった観点からの、しかも、著作権問題に初めて直面した人のための解説書、入門書が求められているように思われます。
今後、ケーススタディ・シリーズとして、著作権問題を様々な切り口で整理し、それぞれの専門家の協力や文化庁の監修を得ながら、継続的に発行してまいりたいと考えています。本シリーズが、我が国における著作権思想の普及に資することを切に望みます。