今日も私たちが音楽を楽しめるのは、そこに創り手たちの豊かな才能と熱い想いがあるからです。家庭内での「私的な」コピーは一定の条件下で許されていますが、それが全体で膨大な数になればアーティストたちの不利益となり、創作活動を困難にしてしまいます。そのために著作権法では、アーティストたちへ経済的補償をして創作活動を支えるため、私的録音補償金制度を定めているのです。補償金は、例えばMDや音楽用CD−Rなどの機器やメディアを購入する際に含まれています。その補償金の徴収とアーティストたちへの分配を行なっているのが、sarah(サーラ:社団法人私的録音補償金管理協会)。創る人と聴く人の調和を図るのが、この制度です。 |
著作権法第30条1項では、個人が家庭内などで行なう個人のための「私的な」コピーは、一定の条件下で権利者(作詞家・作曲家、歌手、演奏家、レコード製作者など)の許諾を得ずに使用することができるとされています。しかし、その第2項では政令で指定されたデジタル録音機器・記録媒体(DCC、DAT、MD、音楽用CD-R/CD-RW)を用いて録音する場合には、補償金を支払わなくてはならない、とも定められています。たとえ個々には零細な個人的録音であっても、それが社会全体としては、膨大な量のコピーとなって、その結果アーティストたちの不利益につながり、将来の創作活動を困難にしてしまうからです。補償金はユーザーの皆さんが、指定機器や指定記録媒体を購入する際の購入価格に含まれており、この制度の協力者であるメーカーを通じて、(社)私的録音補償金管理協会(sarah)に支払われます。sarahは文化庁長官より指定を受けた私的録音補償金の徴収・分配等の業務を行なう公益社団法人であり、個々の権利者への分配は、その会員である権利者団体((社)日本音楽著作権協会、(社)日本芸能実演家団体協議会、(社)日本レコード協会)を通じて、精度の高い分配データにもとづき、アーティストたちに分配されます。分配された補償金は、アーティストたちの今後の創作活動の支えとなって、音楽文化創造の循環に役立っているのです。補償金の20%の額は、すべての権利者に共通した利益となる共通目的事業として支出され、例えば著作権の教育啓発事業や著作物の創作の振興及び普及事業などに使用されます。 |
現在、政令指定を受け、補償金支払いの対象となるデジタルオーディオ製は、次の録音機器及び記録媒体です。 |
カタログに表示された標準価格の65%相当額の2%ただし、上限は1,000円と定められています。 |
カタログに表示された標準価格の50%相当額の3% |
この制度では、補償金の対象とならない著作物以外のもの(例えば鳥の声など)だけを録音した場合には、支払われた補償金を返還する規定があります。これまでも、また今後とも著作物などを録音しない場合は、所定の手続きによって補償金の返還を申請することができます。 |
私的録音補償金制度は、デジタル時代において、ユーザーと音楽を創るアーティストたちとの架け橋的な役割を持っています。ユーザーが支払っている補償金は「私的録音補償金制度」を通じて日本の音楽を支えているのです。創る人と聴く人の調和を図る役目を果たしているのです。 |
sarahは、補償金制度が導入されたことに伴い、平成5年3月3日、公益を目的とする社団法人として、 文部・通商産業(現:文部科学・経済産業)の両大臣から許可を受け、また、文化庁長官から私的録音・録画補償金制度のうち、 私的録音にかかわる業務を行う団体としての指定を受け、誕生しました。 |
1. 私的録音補償金を受ける権利を行使して、補償金を権利者に分配すること 2. 著作権及び著作隣接権の保護等の共通目的事業を実施すること 3. 上記の2つの目的を達成することによって、文化の発展に貢献すること |